片手で入力出来るかどうかが重要

前回は、コマンドエイリアスを設定する際に考えるポイントとして、コマンド名とエイリアスの関係について考えてみました。

どんなコマンドを実行するのかを分かりやすくする為に、コマンドの頭文字をエイリアスに設定する。

これは恐らく一般的なやり方ではないかと思います。

私もある程度はですけど、そうした原則に従ってコマンドエイリアスの設定をしています。

また、キーボードの配置にも気を使うことによって、2文字のエイリアスでもスムーズに操作することが出来る。

そもそも、2文字のエイリアスを入力する際に、お互いが離れているキー同士の2文字は非効率的です。

せっかく自分で好きなように設定出来るのだから、初期設定のままにしておくのは勿体ないと思います。

そんな話の続きとして、今回はオートキャド(AutoCAD)の基本的な操作スタイルについて考えてみることにします。


■基本的な操作スタイル

今この文章を書いている時もそうしていますが、キーボードには「ホームポジション」という基本スタイルがあります。

左手の人差し指を「F」キーの上に、右手の人差し指を「J」キーの上に置き、そこを基準にしてそれぞれの指を置いていく。

これがホームポジションの基本的な考え方になります。

最初は窮屈に感じることもありますけど、慣れてくるに従って、文字入力のスピードは劇的に速くなります。

「劇的」は少し言い過ぎかも知れませんが、入力がスムーズになった結果早くなるというのは本当です。

ただ、こうした基本スタイルというのは、当たり前の話ですが「両手をキーボードに載せる」という前提で成り立っています。

両手をキーボードに載せて、10本の指で全てのキーをカバーしていく、という考え方なので、それも当然なんです。

……けれども、これは少なくともオートキャド(AutoCAD)を操作する時には使えないスタイルです。

何故かというと、カーソルなどを動かしたりズームをする為に、利き手は必ずマウスを操作しているから。

この違いが致命的に大きい為、よく言われる「ホームポジション」は、少なくともCADでは通用しないんです。

 

■片手でフォローしやすいかどうか

だったら実際にはどうすれば良いのか。

やはりキーボードは利き手とは逆の手で全て操作する、というスタイルが最も無難な選択肢ではないかと思います。

もちろん図面を作図していく段階では、結構色々な言葉を入力する機会があるはずです。

そういう時だけ両手でキー入力をして、それ以外は基本的に「右手にマウス、左手にキーボード」というスタイルになるはずです。

これは右利きの方の場合で、左利きの方は「左手でマウス、右手にキーボード」という事になります。

右利き、左利きどちらでも、結局は利き手とは反対の手でキーボード入力をすることになる訳です。

何が言いたいのかというと、「利き手とは逆の手で、スムーズに入力出来るキーは結構少ない」ということです。

両手でキー入力をする際には、「Q」キーでも「P」キーでも、入力する手間はそれほど変わりません。

だけど、例えば左手のみでキー入力をする際には、「Q」の方が「P」よりも距離的に近いから入力しやすいんです。

何だか、当たり前の話をひたすら真面目に書いている気がして、ちょっと変な感じがしますが……

コマンドエイリアスの設定で最も重要な要素のひとつに、どれだけスムーズにキー入力が出来るか、というものがあります。

そのスムーズさは、キー入力をする手の届く距離がどの程度か、という要素によって微妙に変わってくる、ということです。

これは一見地味な感じもある、というか地味な感じしかしませんけど、操作スピードに影響を与える非常に重要な項目です。

コマンドエイリアスの設定をする際には、そのキーが片手で押しやすい位置にあるかどうかも考慮する。

そうした細かい気遣いが、最終的には大きな違いになって表れるので、設定の際に今回の話を思い出してみることをお勧めします。